海洋人間学雑誌 第1巻・第1号
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Oa07.立位の体操介入による肩部・腰部の筋の圧痛改善効
行田直人(明治国際医療大学、東京海洋大学大学院)
林 愛・大木琢也・岡本武昌(明治国際医療大学)
佐野裕司(東京海洋大学大学院)
キーワード:筋の圧痛検査、体操
【目的】
船員は、肩こりや腰痛の愁訴率が高く、その診断に筋の
圧痛検査の有用性が示唆されている。一方、肩こりや腰痛
の改善に体操が有効であるとされているが、狭い船舶内で
は、特に簡単に実施できる体操が期待される。そこで本研
究では、船舶内でも簡単に実施できる立位での体操を実施
させて、肩部と腰部の筋の圧痛改善に及ぼす効果を検討す
ることを目的とした。
【方法】
被験者は頚肩背腰部のコリ・ハリや痛み感を自覚する成
人男女22 名(平均年齢22.8 歳)である。体操は立位での
背反らし体操
10
回と背伸ばし体操
10
回で、毎日
1
セット
を約
1
ヶ月間行わせた。
圧痛検査は、圧痛計(松宮医科精器製作所製)を用いて
7.5kg
の圧迫負荷による検査(以下、圧痛計検査)及び検
者の母指による最大圧迫の検査(徒手検査)を、体操の実
施前と半月後に実施した。圧痛計検査は、圧痛強度を「‘圧
痛が全くない’:
0
」~「‘我慢できない’:
10
」の
10
点法
で被験者に回答させた。徒手検査は、「‘圧痛なし’:
0
」~
「‘非常に強い圧痛あり’:
3
」の
4
段階による圧痛強度を
検者が評価した。両検査の対象筋は、僧帽筋、最長筋および
腸肋筋のそれぞれ左右の筋であった。
【結果】
両圧痛検査の圧痛強度は、対象筋の全てにおいて体操実
施前に比べて
1
ヶ月後に低下を認めた。
圧痛計検査と徒手検査との圧痛強度の相関は、対象筋の
全てに有意な関係を認めた。
【結語】
以上の結果から、本研究で実施した体操は、肩部と腰部
の筋の圧痛を改善させると同時に、それを評価するのに圧
痛計検査および徒手検査が有用であることを示唆してい
る。
Oa08. 海洋スポーツ・レクリエーション種目・海域の多
様性と安全(1)
柳敏晴(名桜大学)
キーワード:海洋スポーツ・レクリエーション種目、海域、
多様性、安全
【目的】
本研究の目的は、多様な海洋スポーツ・レクリエーショ
ン種目とその海域を特定し、安全体制の構築を考察するこ
とである。
【方法】
文献等により現在実施されている海洋スポーツ・レクリ
エーション種目について、特性と海域を特定し、実施され
ている安全体制について緒外国の例から、望ましいと考え
られる安全体制について考察する。
【問題の所在】
海洋スポーツ・レクリエーションの活動空間は、海浜・
海面・海上・海中・海底と幅広く、海域も浜(潮間帯;前
浜、後浜)、沿岸(亜浅海、浅海;沖浜、外浜;大陸棚)、
外洋(大洋域、大陸傾斜域)と広がる。
海洋スポーツ・レクリエーションの活動種目は、自分や
他者の安全を守る水泳やライフセービング種目、風を利用
するセーリング種目、漕ぐことが中心のローイング種目と
パドリング種目、海中の世界を体験できるダイビング種目
など、多種多様でその特性も一様でない。
安全の基本は、「自分の命は自分で守る」である。幅広い
海域で行われる多様な海洋スポーツ・レクリエーション種
目の安全体制を確立するためには、種目特性の理解と、役
割分担が必要である。諸外国の例を通し、教育、指導、救
助活動等について、望ましい安全体制について、ライフセ
ーバー、消防、海上保安庁等の分担について提言する。
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