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海洋人間学雑誌 第１巻・第１号
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Pa01. ボードパドリングにおけるストローク特性：
パドリング方法および性差の比較
深山元良(城西国際大学)、植松梓(大阪体育大学大学院）、
遠藤大哉(日本体育大学非常勤講師）、荒井宏和(流通経済
大学）、中塚健太郎(筑波大学）、荒木雅信(大阪体育大学）
キーワード：ボードパドリング、ボード速度、ストローク
頻度、ストローク長、サーフレスキュー
【目的】
サーフレスキューの方法のひとつに、ボードを用いた救
助法がある。水上でボードの推進力を得るためのパドリン
グ方法には、ニーリングパドル（K-Pad）とストロークパ
ドル（S-Pad）の 2 種類がある。本研究は、熟練者が 40m
全力パドリングを行ったときのボード速度（BV）、ストロ
ーク頻度（SR）、ストローク長（SL）の変動についてパド
リング方法および性差を比較し、今後の技術指導のための
知見を得ることを目的とした。
【方法】
被験者は、全日本ライフセービング選手権ボードレース
決勝進出者10 名（男女5 名ずつ）とした。被験者に競技
用ボードを用いて、室内 50m プールのスタート側壁面 5m
地点からゴール側壁面5m 地点までの40m 区間における全
力のK-PadとS-Padをそれぞれ2回ずつ行わせた。3台の
デジタルビデオカメラを用いて試技中の被験者の矢状面
を右側から撮影した。40m を 5m 毎の区間に分け、それぞ
れのBV、SR、SLを算出した。
【結果と考察】
K-Pad と S-Pad の最高速度（K-Pad: 2.77m/s、S-Pad：
2.57m/s）はともに 25-30m 区間に出現し、最高速度区間
におけるK-PadのBVはS-Padに比べて有意に速かった（p
<.01）。また、最高速度区間におけるSRはK-PadがS-Pad
に比べて有意（p <.01）に高かったが、SLでは有意差が
認められなかった。さらに、K-Pad と S-Pad の両方にお
いて、男子の最高速度は女子に比べて有意に速かった
（K-Pad,男性: 3.02m/sec vs. 女性: 2.55m/sec（p
<.01）;S-Pad,男性: 2.73m/s vs.女性: 2.40m/s（p <.05）。
【結論】
40m全力パドリングにおける最高速度は、K-PadがS-Pad
に比べて有意に速く、それは SR がより高いことによると
考えられた。また、K-PadとS-Padとも、男子の最高速度
は女子に比べて有意に速いことが明らかとなった。
Pa02.ボードパドリングにおけるストローク特性：技能レ
ベルの違いによる動作感覚および意識の特徴
中塚健太郎（筑波大学），深山元良（城西国際大学），
遠藤大哉（日本体育大学非常勤講師），荒井宏和（流通
経済大学），植松梓（大阪体育大学大学院），荒木雅信
（大阪体育大学）
キーワード：動作感覚，意識，ボードパドリング，技能レ
ベル，ライフセービング
【目的】
水辺の死亡事故を未然に防ぐためには，迅速な救助が不
可欠である。よって，迅速な救助を想定したライフセービ
ング競技におけるボードパドリングは，重要な技術のひと
つといえる。本研究では救助者の主観的な動作感覚及び意
識に着目し，技能レベルの違いによって動作感覚及び意識
にどのような特徴があるのかについて明らかにすること
を目的とした。
【方法】
被験者は，全日本ライフセービング選手権ボードレース
決勝進出者 10 名（熟練群）と大学生ライフセーバー8 名
（未熟練群）とした。ボードパドリング用の主観的動作感
覚及び意識の評価項目（14 項目）を複数の専門家で検討
し，調査用紙を作成した。全ての被験者に全力で40mのニ
ーリングパドル(K-Pad)とストロークパドル(S-Pad)を行
わせた後，調査用紙に回答を求めた。
【結果と考察】
各評価項目について，技能レベル（熟練群・未熟練群）
×パドリング条件（K-Pad・S-Pad）の2要因の分散分析（混
合計画）を実施した。その結果，K-Pad条件において熟練
群は「姿勢がブレにくい」等，動作感覚に関する項目の得
点が未熟練群に比べて有意に高かった（p <.05）。一方，
未熟練群は「腰を意識する」といった局所的身体部位への
意識に関する項目の得点が熟練群に比べて有意に高かっ
た（p <.05）。また，S-Pad 条件では技能レベルによる特
筆すべき差異は見られなかった。
【結論】
本研究では，K-Pad条件において熟練群と未熟練群に動
作感覚及び意識の違いが見られた。一方，S-Pad条件では
技能レベルによる差異はほとんど見られなかった。このこ
とから，S-Padに比べK-Padの方が技能レベルによる動作
感覚及び意識の違いが顕著であると考えられる。