海洋人間学雑誌 第1巻・第1号
25
Oa11. 水辺活動および海洋教育への取り組みに関する調
査研究-福岡県の公立小・中学校を対象として-
千足耕一・蓬郷尚代(東京海洋大学大学院)
島浦 大(国立室戸青少年自然の家)
キーワード:水辺活動、海洋教育、質問紙調査
【目的】
海洋基本法公布後における海洋に関する教育や水辺活
動の実施状況や問題点等を把握するとともに、学校教育へ
の導入可能性を検討するための基礎的な資料を得ること
を目的とした。
【方法】
福岡県内の全ての公立小・中学校(1,102校)を対象に郵
送法による質問紙調査を実施した。
【結果と考察】
小学校からの回収総数は、290 通(756 校配布、回収率
38.4%)であり、中学校では、155 通(346 校配布、回収率
44.8%)であった。
そのうち、水辺活動を行っている小学校は 106 校
(38.3%)、中学校では 18 校(12.3%)であり、海洋に関する
教育を行っている小学校は 108 校(40.0%)、中学校 31 校
(21.2%)であることが示された。学校教育における水辺活
動の取り組みについては、少人数で1 日1~2 時間での総
合的な学習の時間に実施数が多い現状を把握した。
水辺活動の実施を阻害する要因では、「時間的な問題」
と「施設・用具の問題」が高いことが示された。水辺活動の
実施場所は公共の海洋教育施設が多く、公共の海洋教育施
設が学校の近くにない場合には時間的な問題から水辺活
動の実施が難しいことがわかった。
【まとめ】
以上のことから、学校教育の中で実施可能性の高い海洋
に関する教育プログラムや水辺活動のプログラムを開発
することが必要と考えられた。また、公共の教育施設が学
校の近くにない場合でも、既存の施設を活用した海洋に関
する教育や水辺活動を学校教育に導入することが実施率
を高めるための解決策の一つであると考えられた。
Oa12. 東日本大震災後の宮城県下におけるサーフィンの
実態調査
佐藤延男・鉄多加志(東海大学海洋学部)
松本秀夫・大津克哉(東海大学体育学部)
【目的】
東日本大震災による大津波で壊滅的な被害をうけた宮
城県下のサーフポイントの現状とサーファーの復興に対
する取り組みを調査し、現状とサーフポイント再開の過程
について考察を行う事を目的とした。
【方法】
宮城県下のサーフポイント(仙台新港、菖蒲田海岸、小
泉海岸)におけるサーフショップ経営者及び仙台サーフシ
ョップユニオンに対して聞き取り調査を行った(2012年7
月)。
【結果と考察】
聞き取り調査を行った結果、各ポイントは、大震災によ
る地盤の沈下、大津波による海岸の消滅など、地形の変化
が認められている。しかし、危険な瓦礫の撤去作業が、自
治体、地元サーファーや全国のサーファーによるボランテ
ィアによって行われ、被災地のサーフポイントは、相次い
で再開している。その背景には、地元の自治体との協力や
被災地のサーファーの様々な取り組みが関与している。ま
た、震災直後より復興支援活動を行ってきた、日本サーフ
ィン連盟や全国のサーファーによるボランティアの活動
が、再開に向けて、地域住民や自治体の理解に貢献すると
共に、宮城県下のサーフィン関係者の勇気と復旧に対する
大きな力となり、復興推進の原動力となっている。
【まとめ】
東日本大震災による大津波での壊滅的被害は、多くの
人々を海から遠ざける結果となったが、海に携わる多くの
関係者により着実に復興の道を歩んでいる。海岸環境を利
用する海洋スポーツ、サーフィンの安全性に関しての課題
はさらに時間と労力が必要であり、まだまだ多くの難題が
あるものの、被災者だけの問題ではなく全国のサーフィン
愛好者の絆が今後の復興の力となっていく事と考えられ
る。
1...,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26 28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,...51